── ゴルフ幹事の皆さん、こんな経験はありませんか? 気の合う仲間が5人集まった。さあコンペだ、と。
しかし、どこのゴルフ場に電話しても「1組4名様までです」の一点張り。
結局、3人と2人に分かれて、あの仲間外れ感……。最悪ですよね。
私、飛ノ玉彦は、体格に恵まれなかったコンプレックスから飛距離に執念を燃やしていますが、それと同じくらい「非効率な運営」が大嫌いです。
なぜ5人という需要が目の前にあるのに、ゴルフ場は頑(かたく)なに拒むのか?
潤沢な資金(という名の小遣い)を注ぎ込み、この国の5サム事情を徹底的に掘り下げました。
この記事では、単に5サムOKのゴルフ場をリストアップするだけではありません。👇
- 国内ゴルフ場の5サム受入方針(許容・条件付・禁止)のリアルな実態
- なぜ「5人乗りカートあがあるのに5サムを禁止するコースが存在するのか
- 調査に基づく「5サム対応」が期待できる国内ゴルフ場リスト
- 予約時に確認すべき「デキる幹事」の絶対条件
この記事を読み終えた時、あなたは5サムプレーという”劇薬”をスマートに使いこなし、スロープレーの汚名を着ることなく、仲間全員とのラウンドを心から楽しむ「真のゴルフ巧者」となっているはずです。
あのデカいだけの奴らがダラダラ回る4サムより、よっぽど知的なゴルフをしてやりましょう。
目次
- 5サムプレーを巡る国内ゴルフ場の「本音」と「建前」
- 【徹底分析】5人乗りカートがあっても5サムを「禁止」するゴルフ場の論理
- 5サムプレー国内主要ゴルフ場リスト:方針別に見る「許容派」と「条件派」
- 結論:5サムで「デキる幹事」と「嫌われる客」を分ける境界線
5サムプレーを巡る国内ゴルフ場の「本音」と「建前」


日本のゴルフ文化において、「4サム(4人1組)」は絶対的な基準です。
これは、ゴルフの神様が決めたルールというより、運営上の合理性と、我々日本人が異常なまでに執着する「プレーファスト」という概念によって補強されてきた伝統に他なりません。
5サムプレーに対する最大の懸念。それは、たった一つ。
「スロープレー」です。
後続組に迷惑をかけるスロープレーは、日本のゴルフエチケットにおいて最も忌避される行為。
ゴルフ場側からすれば、5サムを1組許可したことでコース全体の進行が淀み、他の何十組というお客様からクレームが入ることこそが、最大の運営リスクなのです。
事実、宮崎県のあるゴルフ場では、過去に5サムを試みたものの、スロープレーが原因で断念したという記録が残っています。
しかし、本当にそうでしょうか?
私、飛ノ玉彦は声を大にして言いたい。
ダラダラとOBを連発し、グリーン上でライン読みに5分もかける4サムと、全員が自分の役割を理解し、キビキビと動く5サム。
本当にコースの進行を妨げるのはどちらですか?と。
問題は人数ではなく、個々のゴルファーの「意識」と、それを管理するゴルフ場側の「運営能力」にあるはずです。
5サム需要という「無視できない現実」
にもかかわらず、5サムプレーに対する明確な需要は確実に存在します。
友人グループ、企業の同僚。集まったのが5人だった場合、2人と3人に分かれるあの虚しさ。
車1台で来た女性5人組が、なぜ一緒に回れないのか。
この「どうしようもない不便さ」に真っ向から応えたのが、千葉県にある千葉よみうりカントリークラブでしょう。
提供されたレポートによれば、このゴルフ場は1996年から5サムプレーを導入し、なんと年間1500組もの5サムグループを集客しているというのです。
これはもう、単なる「例外的な措置」ではありません。
「5サムで回りたい」という確実な市場セグメントを掴んだ、見事な事業戦略です。
ゴルフ場側の「本音」と「建前」
- ここに、ゴルフ場側のジレンマが透けて見えます。
建前(リスク): 「5サムはスロープレーの原因となります。日本のゴルフ文化(プレーファスト)を守るため、お断りしております」 - 本音(リターン): 「コンペの幹事さん、わかります。4組16名様で予約いただくより、4組20名様で予約してくれた方が、単純計算で1組分(4名分)の売上が純増するんです。喉から手が出るほど欲しい…!」
そう、5サムプレーはゴルフ場にとって強力な収益向上策となり得るのです。
この「スロープレーのリスク」と「売上純増のリターン」という2つの本音の間で、国内のゴルフ場は揺れ動いている。
これが、5サム問題を分析する上での大前提となります。
我々ゴルファーが向き合うべきは、単なるルールではなく、このゴルフ場側の生々しい「本音」なのです。
【徹底分析】5人乗りカートがあっても5サムを「禁止」するゴルフ場の論理


- 5サムプレーを計画するアマチュア幹事が、まず最初に陥る「罠」があります。
それは、ゴルフ場の公式サイトや予約サイトで「5人乗りカート導入!」という記載を見つけ、「ああ、ここなら5サムOKだな」と早合点してしまうことです。
待ってください。それは、致命的な勘違いです。
今回の調査で最も衝撃的だった事実。
それは、物理的な「対応能力」(5人乗りカートの保有)と、公式な「運営方針」(5サムの可否)との間に、恐ろしいほどのギャップが存在することです。
ゴルフ場の方針は、大きく以下の3つに分類されます。
- 許容 (allowed):
「千葉よみうりカントリークラブ」のように、公に5サムを認め、事業の柱にしているコース。 - 条件付き (conditional):
「平日限定」「キャディ付限定」「ハーフのプレーペース目安厳守」など、特定の条件下でのみ認めるコース。これが最も一般的な形態です。 - 禁止 (denied):
5サムに対応可能な設備(5人乗りカート)を保有しているにもかかわらず、明確に「禁止」しているコース。
5サム・パラドックス:「5人乗り」なのに「5人禁止」
この「禁止」こそが、我々が直視すべきゴルフ場側の”神経質な本音”です。
例えば、PGMグループのコースには、5人乗りカートを導入していながら、予約ページに明確に「5名不可」と明記している事例が存在します(例:京ヶ野GC)。
また、「京カントリークラブ」(千葉県)のように、4〜5人乗りカートの採用や「ハーフ2時間10分目安」を掲示しているものの、5サム自体の可否については公に明記していない(=要電話確認)コースも多数あります。
脳汁が出そうになるほどの、完全な矛盾。
なぜ、こんなことが起こるのでしょうか?
5人乗りカート導入の「本当の理由」
このパラドックスを解く鍵は、PGMグループのような大手事業者が5人乗りカートに投資する「本当の理由」にあります。
彼らは、必ずしも「5サムプレーのためだけ」に高価なカートを導入しているわけではないのです。
- 理由1:4サム客の快適性向上(アップセル)
4人で広々と5人乗りカートを使う快適性は、それ自体が付加価値となります。
事実、「クリアビューゴルフクラブ&ホテル」や「富貴ゴルフ倶楽部」では、送風機付きの「Cool Cart」(5人乗り)を1人500円の追加料金で利用できるアップセル商品として提供しています。
カート自体が、5サムとは独立した収益源なのです。
(参考:NTTドコモ GOLF me!) - 理由2:将来への戦略的ヘッジ
今は禁止していても、将来的に需要がさらに高まれば5サムを解禁するかもしれない。
その時のための「選択肢」として、設備だけは先行投資しておく。これは大企業として合理的な戦略的判断です。
つまり、我々ゴルファーが「お、5人乗りだ」と喜んでいるそのカートは、ゴルフ場側にとっては「5サム用」ではなく、「4サム客へのアップセル商品」または「将来への保険」でしかない可能性があるのです。
この「設備と方針のねじれ」を理解せず、「カートがあるから大丈夫」と高を括(くく)って予約しようものなら、ゴルフ場側から「ルールも読めない厄介客」として、即座にブラックリスト入りでしょう。
飛距離に執着する私としては、そんなスマートじゃない負け方は断じて認められません。
(参考:PGM公式サイト)
5サムプレー国内主要ゴルフ場リスト:方針別に見る「許容派」と「条件派」


レポートに記載されたデータベースに基づき、国内で5サムプレーの「物理的対応能力」がある(=5人乗りカートを保有している)と見られるゴルフ場は30以上に上ります。
しかし、前述の通り、これらが全て「許容」しているわけではありません。
ここでは、特徴的なゴルフ場を「方針別」にプロファイルし、その実態を分析します。
A. 積極的許容派(パイオニア)
- 千葉よみうりカントリークラブ(千葉県)
- 方針: 「全日、1組5名まで可能」と明確に許容。
- 分析: このコースの凄みは、単に「5人OK」にしたことではありません。
「5サム=スロープレー」という業界の常識を覆すため、「ハーフ2時間15分を目安」として掲げ、遅延時には組み替えを行うなど、進行を確保する厳格な運営体制を敷いていることです。
つまり、「5人で回りたければ、4サムの連中より早く回る意識を持て。それができないなら運営側が介入する」という、ゴルフ場側からの明確な”覚悟”の表れです。
この覚悟があるからこそ、年間1500組もの需要を掴み、ビジネスとして成立させているのです。
(参考:千葉よみうりカントリークラブ 公式サイト)
B. 方針転換(要確認)
- サンコーカントリークラブ(群馬県)
- 方針: 歴史的には平日などに5サム専用キャディフィを設定し運用していたが、2021年に「5バック(5サム)プレーの停止」を公式告知。
- 分析: これは「許容」から「停止」へと方針転換した重要な事例です。
36ホールというリソースがあっても、やはりスロープレーのリスク管理が優先されたと推測されます。
「昔はOKだった」という記憶で予約するのは最も危険です。現在は「原則停止(=要電話確認)」と認識するのが正しいでしょう。
(参考:サンコーカントリークラブ 公式サイト)
C. 「条件付き(要問合せ)」が大半を占めるPGMグループ
今回の調査リストの大半を占めたのが、PGMグループのゴルフ場です。
しかし、その多くは「皐月ゴルフ倶楽部 鹿沼コース」や「大日向カントリー倶楽部」のように、5人乗りカートはあるものの、5サムプレー自体の明示的なポリシーは見当たらない「conditional(条件付き)」、実質的には「要問合せ」というステータスでした。
特に「皐月ゴルフ倶楽部 鹿沼コース」のGDO案内には「1組4名が原則」との記載もあり、「5人乗りカート=5サムOK」ではないことが明確に裏付けられています。
5サム対応能力が確認されたゴルフ場リスト(抜粋・2025年時点)
※注意:本リストは5サム受入を保証するものではありません。必ず事前に電話確認が必要です。
| ゴルフ場名 | 都道府県 | 方針分類 (推測) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 千葉よみうりカントリークラブ | 千葉県 | Allowed (許容) | ハーフ2時間15分目安 |
| サンコーカントリークラブ | 群馬県 | 要確認 | 2021年に5サム停止告知あり |
| 皐月ゴルフ倶楽部 鹿沼コース | 栃木県 | Conditional (要問合せ) | 5人乗りカート有。GDOに「4名原則」記載あり |
| 大日向カントリー倶楽部 | 栃木県 | Conditional (要問合せ) | 5人乗りカート有。5サム可否は明記なし |
| 京カントリークラブ | 千葉県 | Conditional (要問合せ) | 5人乗りカート有。5サム可否は明記なし |
| 富貴ゴルフ倶楽部 | 埼玉県 | Conditional (要問合せ) | Cool Cart (5人乗り) は有料アップセル |
| クリアビューゴルフクラブ&ホテル | 千葉県 | Conditional (要問合せ) | Cool Cart (5人乗り) は有料アップセル |
| 近江ヒルズゴルフ倶楽部 | 滋賀県 | Conditional (要問合せ) | 5人乗りカート有。5サム可否は明記なし |
| 大博多カントリー倶楽部 | 福岡県 | Conditional (要問合せ) | 5人乗りカート有 (有料)。5サム可否は明記なし |
このリストから明らかなように、関東地方、特に千葉・埼玉・栃木に5人乗りカートの導入が集中している傾向が見られます。
これは人口密集地や企業コンペの需要と相関があると考えられます。
結論:5サムで「デキる幹事」と「嫌われる客」を分ける境界線


さて、国内の5サム事情を巡る分析も大詰めです。
我々が直面している現実は、こう整理できます。
- 5サムプレーというニッチ市場は、確実に存在する。
- ゴルフ場側も、コンペ需要などによる「売上純増」のメリットは理解している。
- しかし、その成長を阻んでいる最大の要因は、設備(カート)ではなく、「スロープレー」という文化的・運営上の根深い懸念である。
- 結果として、「5人乗りカートはあるが、5サムは禁止」というパラドックスが常態化している。
この状況下で、我々ゴルファー、特に5サムプレーを企画する幹事は、どう振る舞うべきか。
「嫌われる客」にならず、ゴルフ場からも仲間からも信頼される「デキる幹事」になるための境界線は、以下の3つの鉄則に集約されます。
鉄則1:カートの見た目で判断するな。設備と方針は別物と心得る。
これが最大の教訓です。
「5人乗りカートがあるから大丈夫だろう」
この素人判断こそが、ゴルフ場にとって最も迷惑な「思い込み」です。
「京ヶ野GC」の事例を思い出してください。彼らは明確に「禁止」と意思表示しています。
その背景には、「プレーペースと体験の質を維持する」という、ゴルフ場としての意図的な戦略があるのです。
その戦略を、我々客側の「5人で回りたい」という都合だけで踏みにじってはいけません。
鉄則2:予約前の「電話確認」こそが、幹事の命綱である。
楽天GORAやGDOといったネット予約サイトの多くには「1組4名が原則」と明記されています。
この原則があるにもかかわらず、備考欄に「5サム希望」と書くだけ。これは、最悪の対応です。
ゴルフ場側からすれば、確認もせず一方的に要求を突きつける「厄介客」でしかありません。
「デキる幹事」は、必ず予約前に電話を入れます。
「お忙しいところ恐れ入ります、飛ノ玉彦と申します。来週の平日、コンペを検討しておりまして、1組だけ5名でのプレーをお願いすることは可能でしょうか? もちろん、プレーファストは徹底いたします」
この一本の電話で、あなたは「ルールを理解しようと努める、話のわかるゴルファー」として認識されます。
たとえその場で断られたとしても、あなたの信用は守られます。
リストに載っている「conditional(要問合せ)」のコースには、これが絶対条件です。
鉄則3:「ハーフ2時間15分」の絶対厳守。4サムより早く回る執念を持て。
もし、ゴルフ場があなたの熱意と丁寧な確認を受け入れ、例外的に5サムを許可してくれたら。
その瞬間から、あなたたち5人は、コース全体の模範となる「プレーファスト」を実行する義務を負います。
千葉よみうりが目安として掲げる「ハーフ2時間15分」。これは、5サムにとっては非常にタイトな時間設定です。
これを実現するためには、もはや「執念」が必要です。
- 自分の番が来る前に、使用クラブを2〜3本持ってボール地点へ走る。
- グリーン上では、他のプレイヤーがパットしている間に自分のラインを読み終える。
- カートの移動は常に小走り。
- スコアはカート移動中に付け、ティーグラウンドでモタモタしない。
体格に恵まれず飛距離が出ない私(飛ノ玉彦)は、せめてゴルフの「効率」と「準備」では、誰にも負けたくありません。
5サムプレーは、まさにその「効率と準備の執念」が試される場。
「あの5人組、5人もいるのにバカ早いな」
ゴルフ場と後続組にそう言わしめてこそ、5サムプレーの真の勝利であり、あのデキる幹事の「脳汁が出る瞬間」なのです。
5サムは、ゴルフ場への「甘え」ではなく、ゴルフ場との「真剣勝負」。
その覚悟がある者だけが、5人全員でプレーする権利を手に入れられるのです。
